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筋力が弱いと腰痛になりやすい?中高年向け予防法
筋力が弱いと腰が痛くなる?中高年を悩ませる腰痛と筋力の関係に注目!
腰痛は、多くの人が一度は経験する身近な症状です。特に中高年になると、その頻度や重症度は増していきます。
では、なぜ腰痛が起こるのでしょうか?その原因のひとつとして「筋力の低下」が注目されています。
今回は、中国の全国規模の健康調査をもとに行われた最新の研究から、筋力と腰痛の深い関係をご紹介します。
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【中高年の腰痛、その原因は「筋力低下」かも?】
腰痛とは、腰のあたりに感じる痛みのことで、急に起こる「急性腰痛」から、慢性的に続く「慢性腰痛」まで様々なタイプがあります。
特に中高年層では、慢性的な腰痛に悩まされる方が多くなりがちです。
この研究では、中国の全国調査「CHARLS(チャールズ)」のデータを活用し、45歳以上の約1万人を対象に、筋力と腰痛の関係を分析しました。
筋力は以下の2つの指標で測定されました:
* **握力(手の力):専用の器具で測定
* **立ち上がり時間:椅子から5回立ち座りするのにかかる時間を計測
この2つは、簡単に測れるだけでなく、全身の筋力を反映する信頼性の高い指標とされています。
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【握力が弱い人、立ち上がりに時間がかかる人ほど腰痛リスクが高い】
研究の結果、腰痛を訴えた人は、そうでない人に比べて握力が弱く、椅子から立ち上がるのに時間がかかっていた**ことがわかりました。
さらに統計解析では、年齢や生活習慣、持病などを調整しても、筋力が弱い人ほど腰痛になりやすいという傾向が残りました。
特に注目すべきは「L字型の関係」が確認されたことです。これは、筋力が低いほど腰痛のリスクが一気に高まり、一定以上になるとリスクの上昇が緩やかになるという関係です。
↑ 腰痛リスク
│ ───────┐
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│ │
│ │
│ \
│ \
└────────────────→ 筋力
弱い ふつう 強い
つまり、筋力がある程度まで回復すれば、腰痛のリスクも大きく下がる可能性があるということです。
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【腰痛を防ぐにはどうすれば?筋力アップがカギ!】
この研究から得られる最大の示唆は、「腰痛予防には筋力アップが効果的である」という点です。
とくに中高年にとって、次のような取り組みが重要になります:
定期的な運動:ウォーキングや体操、軽い筋トレでもOK
バランスの良い食事:筋肉を作るたんぱく質をしっかり摂取
無理をしない継続的な習慣:週に数回、短時間でも続けることが大切
また、体幹(お腹や背中)の筋肉を鍛えることで、腰への負担を軽減できます。ヨガやピラティスなど、無理なく始められる運動もおすすめです。
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【研究の限界と今後の課題】
この研究は全国規模のデータを使った大規模な解析であり、信頼性が高いとされています。
しかし、いくつかの制限もあります。
原因と結果の因果関係が不明:筋力が弱いから腰が痛いのか、腰が痛いから筋力が落ちるのかは、はっきりとは分かりません。
*中国のデータであるため、日本にそのまま当てはまるかは不明
*筋力測定が上半身中心で、下半身や体幹の評価が十分でない可能性
今後は、長期的な観察研究や、運動介入による改善効果を検証する実験が求められます。
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【まとめ:筋力を保つことが腰痛予防につながる】
腰痛は、年齢とともに増えるやっかいな症状ですが、筋力を維持することでそのリスクを減らせるかもしれません。
特に、中高年の方は「握力」や「椅子から立ち上がる力」をチェックしてみるのがおすすめです。
今日からでも、無理のない運動習慣を始めて、元気な腰を守っていきましょう!
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【参考文献】
Peng Wang, Xiangjun Lu, Mohan Wen, Xu Li, Qipeng Gao, Rujie Qin.
"Association between muscle strength and low back pain among middle-aged and older adults: a cross-sectional study."
BMC Public Health. 2025; 25:1869.
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